アラサーOLレズビアンのアル中日記

東京で働くアラサーOL。レズビアン(LGBTのL)。アルコール依存症で精神病院に入院したことをキッカケに断酒を決意し、同じ病気の人や、セクシャリティで悩む人に向けてブログを書いています。

アルコール依存症とそうじゃない人の決定的な違い

はじめまして、東京で働くアラサーOLのマイです。レズビアンです。
 
いま何とかブログを書けるまでに回復しましたが、アルコール依存症で過去に2度、精神病院のアルコール病棟(閉鎖病棟)に入院した経験があります。入院生活は、一言で言えば、めっちゃ怖かったです。もう二度とあそこには入院したくありません。
 
このブログでは、数年前までは元気に飲んだくれていた私が、どういった経緯で精神病院のアルコール病棟に入院することになったのか。そして、アルコール依存症という病気がどれだけ恐ろしい病気なのかを綴っていきたいと思います。
 
同年代の女性、またセクシャリティ性的指向で悩む人が少しでも生きやすくなる助けになれば幸いです。
 

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アル中もLGBTも、すぐ隣にいるかもしれない、という話

アルコール依存症(アル中)」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?
 
居酒屋や駅で飲んだくれている酔っ払い? 家で毎日晩酌する大酒飲み? 一杯飲んでから会社や学校に行ってしまう人?
 
もちろん、そういう人の中にもアルコール依存症の人はいます。が、そうではない、一見普通の社会生活をおくっているようだけど、実はアルコール依存症(またはアルコール依存症予備軍)の人もたくさんいます。私もそうです。
 
厚生労働省が発表している統計によると、アルコール依存症の疑いのある人は440万人、治療の必要なアルコール依存症患者は80万人。中でも、女性症者の数が増えているそうです。
 
女性患者が増えている話は、入院中も何度か耳にしました。実際、私が入院していた病棟でも男女比が3:2くらい。女性のほとんどは40代以下でした。一方、男性患者の大半は、いわゆる現役を引退した年配の人々。女性は飲みはじめて10年ちょっとで発症した人がほとんどなのに対し、男性は30年以上飲んでいて入院に至った人が多かったことから、女性は男性に比べて進行が早いのは本当なのだなと思いました。
 
本音を言うと、(私も含めて)入院や外来で病院につながっている人はまだ良いです。中にはもう手に負えない状態になって運ばれてくる人もいるそうですが・・・・・・、早いうちにアルコール専門の病院につながって適切な治療をすればするほど、「死」という最悪の場合を避けられる確率がぐんと上がります。本当に怖いのは、誰にも言えずに毎日飲んでいる1人暮らしの独身女性、ではないかと思っています。私の周りにも「この人もアルコール依存では?」と思う友人が何人かいます。
 
アルコール依存症に関する医療書籍、当事者や家族の体験本は数多く出版されていますが、重症なケースを取り上げている場合が多く、「自分には関係ない」「自分はここまでひどくないから、まだ大丈夫」と思ってしまう人もいると思います。入院前の私もそうでした。自分のアルコールの飲み方がちょっとおかしいかも・・・・・・と思い診療内科に通院はしていましたが、まさか入院はね、と思っていた数年後にまさかの入院(しかも2度も!)になってしまったのです。
 

アルコール依存症関連書籍(当事者から見てリアルだったもの)

失踪日記2 アル中病棟

失踪日記2 アル中病棟

 
アル中ワンダーランド (SPA!BOOKS)

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酔うと化け物になる父がつらい

酔うと化け物になる父がつらい

 

 

毎日飲んでいる人、また毎日ではなくても、お酒の飲み方がちょっとおかしいかな?と思う人は、アルコール専門の病院(←ここ重要です!)に行くことを強くオススメします。病院や主治医にもよりますが、心療内科に通っているだけでは回復しません(※)。薬は出してくれますが、本気で病気と向き合うのなら、アルコール専門の治療を行っている病院に行ったほうがいいです。
 
(※)アルコール依存症は治癒しない病気なので、回復という言い方をします
 

アルコール依存症チェックリスト> 4つ以上該当する人は、要注意!

□ 一週間ぐらいの禁酒を決心したものの、2〜3日しか続かなかった
□ アルコールのことであれこれ指図を受けたくない。余計なお世話だと思う
□ 泥酔を避けるために、アルコールの種類を変えてみたことがある
□ 過去一年間に朝酒の経験がある
□ 何のトラブルもなくアルコール飲める人たちがうらやましい
□ 過去一年のあいだに飲酒に関連するトラブルがあった
□ 飲酒が原因で家庭内にトラブルが起こっている
□ 宴会や集まりで飲み足りないので、どうにか「余分に」アルコールを手に入れようとしてみたことがある
□ 酔っぱらうつもりがないのに酔っぱらってしまうことが年中あるのに、それでも、その気になればいつだってアルコールはやめられると自分に言い聞かせている
□ 飲酒が原因で仕事や学校を休んだことがある
□ ブラックアウト(飲んでいるあいだの数時間、あるいは何日間かのことがまったく思い出せないこと)がある
・□ アルコールを飲んでいなかったら、自分の人生はもっと、まともだろうにと思ったことがある
 
(AA:アルコホーリクス・アノニマス、12の質問より http://aajapan.org/isaaforyou/ ) 
 
また、私はLGBTですが、このこと自体がアルコール依存症に関係しているとは思っていません。ただ、私がこれまでの人生で苦しんできたこと、セクシャリティのことは、お酒の問題と切っては切り離すことはできません。詳細は後日書きますが、私の性の問題には、いつもお酒がつきものだったからです。
 
LGBTについては、最近こそメディアで取り上げられるようになり、2018年に刊行する広辞苑にも「LGBT」が追加されるなど、ずいぶん可視化されてきました。2015年に電通が行った調査によると、国内の13人に1人がLGBTに該当するのだそう。ですが、実際は、自分の周りにLGBTはいないと思っている人がほとんどなのではないでしょうか。
 
断言しますが、LGBTはあなたの周りにも確実にいます。言えないだけなのです。存在を認めて特別扱いしてほしいとは思っていませんが、いるんだ、ということだけでも認識しておいてくれるとうれしいです。
 

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アル中と普通の酒飲みの決定的な違い

話をアル中に戻します。上記のチェックリストを試しても、まだ自分はアルコール依存症ではなさそうだ、と思っている人もいることでしょう。私も数年前まではそうでした。たぶんアルコールに問題はあるけど、会社には行けているし、大丈夫だ、的な。
 
が、違ったのです。一緒にお酒を飲んでいた友人、職場の人のほとんどは普通にお酒が飲めて、楽しめている人たちです。でも自分は違った。その理由を以下に説明します。
 
アルコール依存症の人と、単なる酒飲み・お酒好きの人との違い。それはお酒を飲む目的が違う、と私は思っています。普通の人は、お酒をコミュニケーションのツールに使ったり、ほろよい気分を味わったりするために飲みます。一方、アルコール依存症の人は、生きていくうえで何か問題があり、それを紛らわすため、「酔って現実逃避するため」にお酒を使います。
 
だから大抵、記憶を失うまで飲みます。飲み会に行っても、必ず最後は家で酔いつぶれるまで飲みます。私もそうでした。ただ、人によってはなかなかそのことに気がつかず、単にお酒が好きだから飲んでいるのだと錯覚するので、やっかいです。
 
「酔うためにお酒を使う」
つまり、お酒じゃなくてもいいんです。酔えれば。
 
アルコール依存症自助グループに行っていると、ギャンブルや薬物依存症、女性だと摂食障害を併発している人がたくさんいますが、まさにそういうことだと思います。依存物質が変わっただけで、原因は同じ。自分の側に何か根本的な問題(生きづらさ)があり、それをお酒でまぎらわしているんです。
 
よく病院で「アルコール依存症」と診断されると、お酒を飲んでいた時間をほかのことに費やすために「趣味を見つけなさい」と言われますが、ぶっちゃけ趣味が見つかったくらいではお酒はやめられません(中にはいるかもしれませんが)。なぜお酒を飲まないといられないのか、その原因を見つけて解決しなければ、断酒は難しいと個人的には考えています。もし断酒できても、それは我慢の断酒なので苦しいですし、根本的な生きづらさは変わりません。
 
このことに気がつくまで、私は約10年かかりました。
 
最初は楽しいお酒のつもりでしたが、今ではお酒は怖いものに変わっています。
 
とはいえ、まだ時々飲酒欲求があります。
 
どうしてもつらいとき
 
なんか酔いたいとき
 
目の前の現実から逃げたいとき
 
1人で自分の殻に閉じこもりたいとき
 
・・・・・・でも、一度お酒を飲むと、苦しい地獄が待っているので、今は(今のところは)飲まずにいられています。
 

>>次回、私が精神病院アルコール病棟(閉鎖病棟)に入院するまで